夏の研修

今年7月、初めて東京で神田外語夏季英語教育公開講座に参加した。参加してみて、気がついた。自分から進んで、身銭を切ってこういった研修に参加するのは、ほぼ20年ぶりだということに。(なんということだ)

20年前の研修は、アメリカのオレゴン州立大学での英語の教員対象の3週間のプログラムに、ちょっとした西海岸旅行がついたものだった。教員になって2年目で、自分の英語力にも指導力にも自信がなく、留学の経験もなかったことから、親に頭を下げ、お金を出してもらったことを覚えている。研修の内容は、理論的な講義はほとんどなく、もっぱら英語を使った活動を通じて、自分の英語のBrush Upを図るということと、EFLの教授法を学ぶということだったように記憶している。当時つとめていた農業高校の分校には、英語の教員は私しかおらず、いろいろな意味で不安や悩みがたくさんあったのだが、同じ研修に参加しておられた先生方に、悩みを聞いていただいたり、他校の様子をお聞きできたことも、若かった私には、大変有意義だった。帰国後、当時の教頭先生が、ワンショットで来校していたALT と私が話すのを横から聞かれて、「だいぶ英語に自信がついたみたいだね」と喜んで下さったり(ま、実際そうでした)、それまで自分が受けてきた「訳読式」の教授法を大きく見直すことができたのもこの研修のおかげである。特に、英語力は人並みかそれ以下の私でも、生徒とやって楽しめる活動を思いつき、教材化することができれば、それは大きな力となる、という確信がその後の私の仕事を支えてくれた。この夏の研修がなければ、今の私はないだろうと思う。

さて、今回の、20年ぶりのたった2日間の東京での自己研修だが、一番よかったのは、現在の自分の立ち位置を確認できたこと。受講した講座は、どれも基本的には「興味があって初めてで」 という人にもよくわかるような内容だったためか、自分が日頃からなにがしか勉強していたり、実践していたりしていることが明確になり、自分のアタマの中が結構スッキリ整理できた。今後、もっと勉強していかなければならないところがはっきりしたのもよかった。また、「チャンツ」については、それこそ20年前、アメリカでほんの少し触れた(この記憶もものすごくアヤシイ)程度?だったので、今の自分の環境で実践するかどうかは別にして、新鮮で、とてもおもしろかった。

感心したのは、研修に来ておられる先生方の意識の高さ。行くように命令されて行く「官製研修」ではなく、身銭を切る「自己研修」のせいか、意欲的な先生方の姿に感銘を受けることしきり。また、知らない土地で、全国のいろいろな校種の先生方にお会いでき、様々な英語教育や考え方に触れることができたのもよかった。20年前は英語でディスカッション、といっても今ほどは、口から英語は出てこなかったように思う。知り合いの多い地元での研修に比べて、知らない人ばかりの環境がよかったのかも。「旅の恥はかきすて」的な意識で、口から英語が出てきたのかもしれないし、もしかすると使い古された、「継続は力なり」なのかしれないけれど。

何にもましてよかったのは、日常から離れて「勉強した」ってことだろうか?アメリカであれ、東京であれ、非日常の空間と時間で勉強に集中できる、っていうのは脳が若返るカンジがするっ!!

(2009年 8月)